校長室より(日々のコラムは、赤甍をご覧ください)

第38代校長 武内 道郎(平成29年4月着任)



「熊高の三本の矢」で厚みのある人間力を身に付けよう!

 平成29年4月1日に春山先生の後任として着任しました。県北の雄、熊高の発展のために頑張ります。

 熊谷高校は、埼玉県内でも有数の伝統ある進学校であり、明治28年の開校以来数多くの才能ある人材を輩出してきました。創立122年目を迎え、平成28年度入学生から、進学型単位制に移行し教育課程を編成しなおしました。2年次から少人数授業が増え、これまで以上にきめ細かい指導ができるようになりました。

 さて、本校を志望している中学生の皆さん、現在どのように過ごされているでしょうか。熊谷高校では、現在、土曜授業、朝学習、部活動終了後の補習、図書館を開放しての夜学習など、様々な学習機会を提供しています。また、国の指定を受けたSSH(スーパーサイエンスハイスクール)を核とした理数教育にも力を入れています。先生方は、質の高い授業で、本気になって生徒諸君の学力向上に取り組んでいます。是非、本校を見学に来てください。

 本校は、開校以来、「質実剛健、文武両道、自由と自治」の三つの校訓を掲げています。これらの校訓のもと、生徒は、「学業」「部活動」「学校行事」に真剣に取り組んでいます。この3つを、戦国時代の武将、毛利元就の教えにちなんで、「熊高の三本の矢」と表しています。この「熊高の三本の矢」の一本一本を怠ることなく真剣に取り組むことこそが、厚みのある人間力を身に付け、将来、社会で活躍する人材の礎になるものだと思っています。

 昨年度、東京大学現役合格をはじめ、多くの生徒が有名大学に進学していきました。しかし、熊谷高校は単なる「進学校」ではありません。熊谷高校では、学業だけでなく、部活動や学校行事にも全力で取り組むことにより、人間の予測を超えて加速度的に進展するこれからの社会に、受け身でなく、主体的に向き合う真のリーダーとしての力を身に付けることができます。120年以上の「伝統」に守られた熊高教育のノウハウがあり、先生方も生徒を鍛え伸ばす方法を知っている学校です。そして、各界で活躍するOB達が、「熊高」をこよなく愛し、熱く現役生を支援してくれる学校です。
さあ
、中学生の皆さん、熊谷高校へいざ来らん!

 


校 長 講 話

校長より

令和元年度全日制第2学期始業式 講話

 ラグビーW杯の件を話します。ここ熊谷市ラグビー場で、9月6日(金)夜の日本VS南アフリカのプレマッチも含め4試合が行われますが、今日はこのラグビー界で活躍した本校OB、高21(昭和44年卒)宿澤広朗さんの話をします。熊高時代は、花園には行けませんでしたが、成績優秀で早大政経学部に進学、早大では「伝説のスクラム・ハーフ」と呼ばれ黄金時代を築きました。社会人チームを破って2年連続日本一にもなっています。大学2年の時から日本代表入りし、卒業後、住友銀行に就職、バンカーとしても優秀で、49歳で執行役員になるなど異例のスピード出世をしています。吹上から通勤しながらラグビーも続け、ロンドン勤務などを経て、1989年39歳で日本代表監督に就任しました。「宿澤ジャパン」としては1991年の第2回W杯で初勝利を挙げています。1994年に母校早大の監督に就任、その時は住友銀行の支店長でした。その後、ラグビー協会理事・強化委員長などをつとめましたが、2006年登山中に心筋梗塞となり55歳でお亡くなりになりました。非常な衝撃でした。二つの仕事がお互いに関連しあい、両方での素晴らしい成果になったと思っています。

 終業式の日に「シルバー民主主義」という話をしました。若い人が選挙に行かないと、年配の方々の意見に有利な政策、政治になってしまう、という話でした。7月21日は参議院議員選挙、8月25日は県知事選挙でした。参院選の投票率が46.48%、国民の半分も投票していない、正直がっかりしました。投票は自主的なものですが、選挙権は、私たち日本国民に等しく与えられた権利です。候補者や政党の主張が、自分にピッタリというケースはなかなかありませんが、より近い、まあ許せる、あるいは、この候補者のこの政策についてだけはピッタリ、という人に投票する。皆さんが自分の意見を表明することで、よりマシな世の中に近づけることができると思います。県知事の力、権限には大きなものがあります。誰が知事でも同じだ、と考える人もいますが、日常の政策や予算など大きく変わります。政治に興味を持っていただきたい。参院選の埼玉選挙区の補欠選挙が10月に行われる見込みです。もう少し期待したいと思います。

 この投票率を見て日本の将来が心配になります。先の見えない時代に生きる熊高生には、何が必要か。どんな能力を身に付けるか、少し考えました。改めて現代社会を見ますと、

 1965年にインテル創業者のゴードン・ムーア氏が唱えた「ムーアの法則」ではないですが、近い将来、車の自動運転技術で交通車事故が激減したり、自動翻訳により英語の勉強が不要になったりするかもしれません。技術革新のスピードは、予想を超えるものがあります。また、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン博士が、2014年に発表した未来予想。2014年から10年後には米国の雇用者の47%の人が職を失う、AIに仕事を奪われると述べました。皆さんも聞いたことがあると思います。

 そして人口減少問題。2018年、出生数から死亡者数を引いた日本の人口の自然減は42万4千人でした。熊谷市の人口が19.7万人ですので、熊谷市2つ分の人口が1年で減っています。一方で外国人の1年間の入国者数は約287万人、外国人の出国者数は約270万人ですので、外国人の流入数の増加分は16万5千人で、現在の総人口に占める外国人の割合はどんどんと増えるかもしれません。

 こうした時代に生きる皆さんにとって、大切なのは何でしょうか。

 まず、誰もが90歳、100歳までも生きていく時代、60歳で定年になった後、更に40年もあるということ。10代の生徒諸君にとってあと80年も生きる間には、どれくらいの技術革新があるかわかりません。せっかく学んだ技術でも刻々と変化してしまう時代、つまり、転職して仕事が変わることは、ごく当たり前の時代になります。安定した職場というより、常に自分のスキルに磨きをかける習慣を持つことが大切になります。つまり、現状維持でなく、変化に強くなること、学び続ける姿勢、常に複数の道を走っているような感覚でいる必要があると思います。70歳になっても、80歳になっても、何らかの道を模索し続ける時代です。

 もう1つはAIにない能力を磨くこと。人工知能の得意分野である、知識の量や、調べて分かることでは勝負になりません。好奇心であり、他の人と協力して作り上げること、コミュニケーション能力、社会性、前例にとらわれないで怖れずチャレンジすること。狭い世界に閉じこもらないで、広くアンテナをはって行動すること。

 そして考えること。ネットを通じて瞬時にどんな情報でも得られる時代です。自分をしっかり持っていないと、情報に振り回される、間違った情報に操られる心配もある。最後は、自分の判断です。「ちょっと変だぞ、よく考えてみよう」と疑問をもってよく考えること。授業中でも、他の人と違う意見を思いつくこと。正解を見つけるのではなく、独自のアイデアを見つける訓練をすること。5つの意見があれば6つ目の意見を探すこと。友達との議論の中で、互いの意見の弱点を補強し、最適解を作り上げていくこと。

 最後に、体を鍛えること、精神も含めたトータルの自分の身体を鍛えること。人生の様々なステージで出会う困難に打ち勝つために、前提となるのは気力・体力です。しなやかなで柔軟な身体が、逆境でも楽しめる余裕、「今はまだだめでも、時間さえかければ勝てる、最後は逆転できる」という自信になります。

 熊高の校訓である、質実剛健・・・体も中身も鍛えること。熊高での、勉強、部活動、学校行事、どれにも懸命に取り組んでください。その中で、AIに負けない能力が身につくと思います。

 人間にとって、24時間は平等、ところが、偉大な成果を上げる人は、決まって時間の使い方、時間の生み出し方が上手です。しかも、その時間に実行できる量が大きい。集中力が違う。皆さんでも、心掛け次第で、そうなれると思います。2学期がスタートしました、充実した高校生活が送れることを期待します。

令和元年度全日制第1学期終業式 講話

おはようございます。

 1年生は先週、臨海学校から帰ってきました。4日間ほぼ予定通り実施できました。お疲れ様でした。この臨海学校は、昨年50回目を迎え、今年が51回目です。12軒の地元の民宿の方々、ライフセーバーの方、本校のOBの方々、漁協の方、市役所や警察、消防、病院など、様々な方々の協力で50年も続いています。頑張りぬく精神力を育てる、そのきっかけになると思います。長い人生には、越えなければならない山がたくさんあります。自分に負けない心は、こうした経験の積み重ねによりだんだん身につくものと思います。自分には「できないのではないか」、目の前の壁は自分でつくってしまうものです。できる・できないは、結局自分自身に原因がある。できるまでやれば、必ずできるのです。熊高で、太い精神力を養ってほしいと思います。

 さて、7月21日は、日本の将来を担う人を選ぶ、参議院議員選挙があります。8月25日には、埼玉県知事選挙もあります。18歳になった人には、選挙権があります。政策をよく見て、貴重な1票を無駄にしないでいただきたい。日本の将来を考えてくれる、優れた政治家を選んでほしいと思います。「シルバー民主主義」という言葉があります。高齢者の人口が増え、若者の投票率が低くなると、政治家は、若者より高齢者にとって有利な政策を打ち出すことになる。結果として、若者の望まない世の中になってしまう心配があります。是非、若い人達の意見を、投票という形で表明してほしいと思います。

 残念なお知らせです。SBHS(NZ:Southland Boys' High School)との今年の交流事業についてです。平成6年にスタートした交流事業ですが、隔年での派遣と受け入れを行っています。今年は受け入れの年ですが、SBHSからメールで「研修を希望する者はいるが、経済的な理由もあり、派遣を1年延期し来年9月の実施としたい」との連絡がありました。従って、残念ながら今年の受け入れは無しになりました。来年度、夏に派遣、秋に受け入れの両方を実施することになります。 

 いよいよ夏休みです。7月20日~9月1日まで、44日間もあります。夏休みをフルに使ってできる、自分が限界まで頑張れる計画を立ててください。1,2年生は、部活動を通して大いに鍛えてほしいと思いますが、時間を作って勉強もして欲しい。3年生は、「夏を制する者は、受験を制す」と言われています。弱い自分に如何に打ち勝つか、それぞれが工夫してください。人生の中で、食べるのも忘れて、勉強に没頭する時期があります。自分に試練を課して、この夏を制して欲しいと思います。

 京都大学の山極寿一氏が、面白いことを言っていて、心に残っています。多くの人は「分かること」が「学び」だと勘違いしている。それは少し違う。「分からない」ということを「知る」ことが学びであると。確かに大科学者でも、まだまだやるべきことがいくらでもある、課題があるという熱意が感じられます。分からないということを学びながら、どんどん高みに上がる、深みにはまっていくことを面白いと感じるようでなければ学びではない。

 受験勉強もそうだと思います。やればやるほど、新たな課題、広い地平線や遠い世界が見えてきて、自分の至らなさ、勉強不足を知る。富士山に登り始めて初めて山の高さが分かるようなもの。絶望するのではなく、到底、到達できない自分を知り、謙虚に、できる限り大きな山に立ち向かう、工夫する。これからの厳しい時代には、その謙虚さ、知らない事、分からないことを知ること、自分一人でできないことを他の人と協力して学ぶこと、そんなことこそが大切な時代だと思います。部活動を引退して、3年生は、ようやく学ぶ体制に入ったと思います。山の高さに気づいた頃かと思います。焦りは禁物です。毎日、とにかく続けること、みなさん一人一人の目標、壁を、何が何でも乗り越えるのです。意志を強く持って、乗り越える。この夏の44日間を、充実して過ごせば、その結果として大きな成長があります。夏を制し、見事に乗り越え、成長した姿に期待しています。9月2日には、見事に成長した姿を見せてほしいと思います。以上。

平成31年度全日制第1学期始業式 講話

 新元号が「令和」になりました。万葉集の「梅の花の歌32首」の序文からの引用で、大伴旅人の作、あるいは、山上憶良の作とする説もある「初春の令月にして、気淑く風和ぎ・・・」と続く部分から「令」と「和」がとられたそうです。今月1日の安倍首相の談話にあったように、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」そうです。平成が30年続きましたが、「令和」の新時代は、どんな時代になるでしょうか。平成31年から、令和元年になったこの年、熊谷高校で、過ごしていたという事実は、思い出に残る出来事になると思っています。よい年にしてほしいと願っています。午後には入学式があり、新たに323名の生徒が入学します。諸君の後輩になります。後輩とともに明るく元気な熊谷高校をつくってほしいと思います。

 3月に卒業した生徒、浪人生を含めた進路状況についてです。現役では、北海道大、東北大、東工大、大阪大など、国公立に62名合格、浪人生では、東京大、群馬大医学部などに合格し、現浪合計での国公立大学への合格者は昨年よりも多い121名でした。今回の卒業生は8クラスに減りましたので少し心配しましたが、これで11年連続での100名以上の国公立大学合格者です。昨年度の例ですと、公立高校で100名以上、国公立大学に合格しているのは、8校のみです。約3人に1人が国公立大学に進学していることになります。新3年生はもちろん、2年生も先輩に続いてほしいと思います。

 さて、先月末、本校に新聞を配達して下さっている販売店を訪問し、学校を代表して、感謝状を贈りました。本校は、ありがたいことに、5つの新聞を全クラスに毎日配っていただいております。これはすごいことです。販売店の所長さんとお話をしました。その思いを伝えたいと思います。「是非、有効に活用して頂きたい」というお話でした。例えば、読売新聞の「えいご工房」というコーナーがあり、現在の社会の動きを英語で知ることができる。熊谷高校の生徒が英語を勉強するのにちょうどよいのではないか、とのお話でした。熊高の生徒に、新聞を有効に活用してほしいという、気持ちが強く伝わりました。

 スマホも便利ですが、自分の関心に沿った内容が中心になります。新聞は、様々な記事をいっぺんに見られる。特集記事では、詳しく知ることもできる。こんな恵まれた環境はありません。新聞は、知識の宝庫です。有効に活用してください。

 私は、読売新聞と日本経済新聞を購読しています。気になる記事は、スクラップしています。その中の記事を紹介します。日経新聞で、テレビで有名な池上彰さんの「若者たちへ」というコーナーがあり、もう何年も続いています。この時期、池上彰さんのところに、大学などの入試問題として引用させていただいたお礼の通知が届くそうです。「このコラムを読み、これをもとに自分の考えを書きなさい」というタイプの記述の出題だそうです。「筆者の言いたいことは何ですか」という読み取り問題ではなく、自分の頭で考えることを問うているのです。池上さんは、これから社会人になる人に、この「自分の頭で考える」ことの大切さを強調しています。大企業で続く、検査結果の偽造問題も、「長年続いているから」と深く考えずに、惰性で続けてきた結果で、その中の一人でも「ちょっと待てよ」と立ち止まって考えていれば防げたかもしれません。惰性に流されずに「なぜだろう?」と常に疑問を持つことが大切であると述べています。科学技術や社会の発展も、前年踏襲では進歩しません。常に疑問を持ち、問いを立てることが最も大切であると思います。

 高校生活の3年間が、一生の間の基礎を作る大切な時期だと思っています。その後の人生のベースとなる、考え方、姿勢、体力・・・その人間の骨格を作る大事な時期です。部活動、勉強、学校行事、とにかく有意義に、密度濃く過ごしてほしい。1分でも無駄にしない気持ちで過ごしてほしいと思います。以上。

平成31年度埼玉県立熊谷高等学校第74回入学式 式辞

 本日ここに多数の御来賓や保護者の皆様をお迎えし、平成三十一年度埼玉県立熊谷高等学校第七十四回入学式が挙行できますことに、深く感謝を申し上げます。

 只今入学を許可いたしました三百二十三名の諸君、本校への入学、本当におめでとう。いよいよ熊谷高校での生活が始まります。不安が半分、期待が半分といった気持であると思います。高校生活をたっぷりと楽しんで欲しいと願っています。

 本校は、「質実剛健」「文武両道」「自由と自治」の三つを校訓として、明治二十八年に創立された伝統校です。また、「学業」「部活動」「学校行事」の全てに全力投球することにより、「厚みのある人間力」を持ったリーダーを育てることを目標にしています。この「学業」「部活動」「学校行事」を「熊高の三本の矢」と呼んでいます。校長室には、この文言と一緒に本物の三本の矢が飾ってあります。

 さて、来月1日からの元号が「令和」に決まりました。万葉集の梅の花の歌の序文からの引用で、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」そうです。平成は30年続きましたが、「令和」の新時代は、どんな時代になるでしょうか。令和元年に入学し、熊谷高校での新生活が始まるという出来事は、一生の宝になると思っています。

 素晴らしい時代になって欲しい、という願いのこもった、この「令和」の新時代を作っていくのは、まぎれもなく、生徒諸君です。難関の高校入試を潜り抜け、晴れて入学してきた生徒諸君には、恵まれた才能があります。その能力をどんどんと伸ばし、素晴らしい文化や平和な日本を、新しい時代をつくっていくことは、生徒諸君の責務です。日本や世界に貢献できる人材、真のリーダーとなって活躍することは、熊高生に課せられたミッションであると思っています。

 単に勉強のできる高校生、運動の得意な高校生ではなく、人格、人物ともに優れた、人から信頼されるリーダーとなるべく力量を磨いてほしいと思います。そのためには、「熊高の三本の矢」である、「学業」「部活動」「学校行事」のどれも一生懸命に取り組むことです。「自主自律」の精神で、受け身でなく、自分の頭で考え、何事にも主体的に取り組む中で、自分を磨いて、光り輝く人間となって欲しいと思います。

 熊高は、進学型単位制ですので、二年次生からは少人数の授業、将来の進路にあわせた選択科目が増えます。「熊高ゼミ」のように、自分で決めた課題を研究し、その成果を発表する探究的な活動もあります。普段の授業でも、単に受け身で授業を聞いているだけでなく、深く考え、疑問を持ち、積極的な授業参加を心がけてください。スーパー・サイエンス・ハイスクールの事業でも様々な行事が予定されています。自分を磨くチャンスだと思って、様々な行事に前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 皆さんが高校を卒業する三年後は、大学入試も大きく変わっています。言われたことを覚えればよい時代から、あふれる情報の中から何が大事かを理解し、それらを自分の頭で構造化し、明快に表現する能力、語学力だけでなく異なる文化の人と深くコミュニケーションをとれる能力が必要です。「熊高の三本の矢」の教育は、これからの激動の時代に必要なこれら能力を備えた人間を育てることができると思っています。熊高の学校生活に懸命に取り組むこと、全力で取り組むことで、大学入試改革には十分に対応できると思っています。「熊高生らしく」あることが、厚みのある人間力を育てることになると思います。頑張ってください。

 次に、保護者の皆様にお話しいたします。まずは、ご子息の御入学誠におめでとうございます。本日から三年間、責任を持ってご子息をお預かりいたします。高校の三年間は、これまでの小学校、中学校での学校生活とは比べ物にならないくらい刺激的なものになると思います。熊高では、厚みのある人間力を培うため、時には厳しく指導して参ります。お子様を、励まし、温かく見守っていただければと思います。

 また、本校では、PTAの活動も活発に行われています。中学校までとの活動とは異なることもありますが、是非、それぞれの支部活動にご協力いただき、保護者も熊高の生活を楽しんでいただきたいと思います。家庭教育と学校教育との関係は、車の両輪とよく言われます。学校と家庭とがそれぞれの役割をしっかり果たし、協力・連携して教育に当たることが何よりも大切なことは言うまでもありません。

 私たち教職員一同、ご期待に沿えるよう懸命に努力いたします。ご家庭におかれましても、本校の教育方針をご理解いただき、ご子息の成長のためにどうか、厳しくかつ温かく見守っていただきますようお願いいたします。

 結びに、本日ご臨席を賜りました皆様方に改めて心から御礼を申し上げるとともに、新入生諸君が充実した学校生活を送ることを祈念し、式辞といたします。

平成30年度全日制第3学期終業式 講話

 平成30年度の終業式です。同時に、平成の時代も残すところあと1か月と少しになりました。約10日後、4月1日には、新元号が発表され、5月からは、新しい元号になります。新しい時代の幕開けです。

 平成は私にとって、30代、40代、50代と過ごしてきた、人生の中心です。様々な思い出があります。新しい時代は、若い生徒諸君の時代だと思います。どんな未来が待っているでしょうか。あるいは、どんな時代を作っていくでしょうか、非常に楽しみです。皆さんも、遠い将来、この時代の変わり目を、高校生活の出来事と共に、思い出すことになると思います。時代の空気の変化を感じて欲しいと思います。

 先日の卒業式では、中国アリババグループ創業者のジャック・マー氏の言葉、三つのメッセージの話をしました。「根気よく努力を続けること」「常に楽観的であれ」「変化を歓迎してください」。卒業式では、「困難にぶつかった際に思い出してください」と述べましたが、実際には、困難にぶつかった際だけではなく、これからの長い人生の、柱となるような考え方、行動のベースとなる考え方だと思います。生徒諸君にとって、勉強でも、部活動でも、「根気よく頑張る」「楽観的に考える」「変化を歓迎する」を行動のベースにできれば、素晴らしい成果が得られるように思います。あらためて、この言葉を実践してほしいなと思います。特に、「根気よく頑張る」については、心身の健康と共に、ぜひ心掛けてほしい。熊谷高校は、3本の矢、「学業」「部活動」「学校行事」のすべてに頑張るとしていますが、これらは、根気よく、頑張りぬく力を育成するためにやっているのです。誰もが投げ出すような状況でも、可能性がある限り続けることが大事だと思います。

 3年生323名が先日卒業しました。学年制から単位制に衣替えし、選択科目を増やし、少人数の授業も増えました。3年生諸君は、厳しい大学受験を乗り越え、よく頑張りました。まだ、国立後期試験の集計がまだのところもありますが、現役生だけでも、北海道大、東北大、東京工業大、大阪大、九州大などに合格し、国公立大学に50名以上合格しています。浪人生も頑張り、東京大学や、国立医学部などにも合格しました。現役浪人で、国公立大学に計100名以上の合格者が出ました。国公立100名以上の合格は、これで11年連続です。担任の先生方のコメントを伺うと、「こつこつとよく頑張っていた」という声を共通して聞きます。当たり前のことですが、こつこつと頑張らなければ受からないのだろうと思います。私は、毎朝、7時ごろに学校に来るのですが、毎朝見かける生徒もいます。頑張っているなと思います。是非、先輩に続き、努力を続けてほしいと思います。

 先日は、卒業生に貴重な話を聞いたと思います。部活動でも、勉強でも、結局は自分自身です。自分のやり方を、勉強であれば自分の方法を確立してほしいと思います。自分の性格、自分の長所・短所をよく考えて、自分にあった方法を見つけてほしいと思います。古代ギリシャの格言に「汝自身を知れ」がありますが、自分を知ることは非常に難しい。理想とされる勉強方法はいろいろあっても、自分の性格にあっていないと、なかなか長続きしない。自分の性格を考え、どういった方法がいいのか、一人一人が考えて実践してほしいと思います。

 4月には、新1年生が入学します。生徒諸君には、新学年を迎えるにあたり、改めて自分を見つめ直し、充実した1年にしてほしいと思います。高校生活の3年間は、一生の基礎を作る大切な時期だと思っています。その後の人生のベースとなる、考え方、姿勢、体力・・・その人間の骨格を作る大事な時期です。部活動、勉強、学校行事、とにかく有意義に、密度濃く過ごしてほしい。1分でも無駄にしない気持ちで過ごしてほしいと思います。以上。

第71回卒業証書授与式 式辞

 本日ここに、多数の御来賓をお迎えし第七十一回埼玉県立熊谷高等学校卒業証書授与式が盛大に挙行できますこと、誠に感謝申し上げます。

 只今卒業証書を授与しました三百二十三名の生徒諸君、卒業おめでとう。ほんの三年前、激戦の高校入試を突破され、熊谷高校に入学し、そこからは、あっという間の三年間だったことと思います。高校生活もいよいよ今日が最終日。思い出に残る、充実した高校生活だったのではないでしょうか。

 熊谷高校に入学して、最初に経験するのは、上長瀞駅まで の四十キロハイク。歩き切った満足感は、何物にも代えられないと思います。夏は、新潟県東の輪海岸での臨海学校。遠泳をこなした後、口に入れてもらった氷砂糖の味を覚えていますか。熊谷高校では、二つの行事を経て、初めて熊高生になると言われています。文化祭、体育祭、様々なスポーツ大会など、熊谷高校に連綿と続く学校行事、部活動に情熱を傾けてきた生徒も多いことでしょう。三年間で、本当に逞しく成長しました。一生ものの友達はできたでしょうか。そして現在、大きな試練である大学入試にチャレンジしていますが、まだ希望を叶えることができず、厳しい現実に直面している諸君もいるでしょう。頑張ってください。

 かつてないペースで進む高齢化、人口減少、多くの仕事がAI(人工知能)に代替されるかもしれない時代、これからの時代は、先の見えない社会が予想されます。「熊高三本の矢」、学業、部活動、学校行事のすべてにがんばるという熊高の教育は、諸君が、将来、社会人となり、その中心となって活躍できる下地を十分に鍛えていると考えています。人生のどこかで、大きな転換点を迎え、大きく躍進するべき時期が来た時、その壁を乗り越える力は十分育っていると思います。激動の時代を逞しく、太く、強く生きていって欲しいと願っています。

 卒業される皆さんに、中国アリババグループ創業者のジャック・マー氏の言葉を紹介します。香港科技大学の卒業式で、名誉博士号を授与された際のスピーチです。ジャック・マー氏は、大学受験を三度も失敗しましたが、挫折をばねに奮起し、三輪自転車の運転手などを経て、再び大学進学を目指し、見事合格。卒業後に英語教師や渡米などの苦労の末、中国で通販サイト、アリババグループを創業します。

 彼は、この卒業式で三つのメッセージを述べています。一つ目は「根気よく努力を続けること」です。「尊敬されるビジネスリーダーになる」。この目標に向かって努力を続けたといいます。簡単なことではなく、自分を犠牲にしなくてはいけない。また、人より辛いことを乗り切って初めて尊敬される、それらを心掛け、根気よく努力を続けたといいます。

 二つ目は「常に楽観的であれ」です。「今日は辛い、明日はもっと辛い、でも明後日には、素晴らしい一日が待っている」。そう楽天的に考えよということです。ほとんどの人は、辛いことが続くと、遅くとも「明日」の夜ぐらいに諦めてしまう。ほとんどの人が諦めてしまった後にこそ、ビックチャンスがある。死に物狂いで努力した人にしか、明後日は来ない。彼は「必ずうまくいく、今日、明日はダメでも明後日には必ずうまくいく」と信じて頑張ったそうです。

 三つ目は、「変化を歓迎してください」です。世界は驚くほどの速さで変化しています。独自のビジネスを立ち上げ、成功している大企業には、この変化を歓迎する文化が共通してあるそうです。「屋根の雨漏りは、日が照っているときに直す」。また、順調な時にこそ成功モデルを疑って壊すと言っています。「変化を歓迎する」ことは失敗を伴います。誰しも失敗はしたくありません。大きな失敗を避ける秘訣は、「最も成功しているときにこそやり方を変えることです」と言っています。

 卒業生諸君、この三つのメッセージ「根気よく努力を続けること」「常に楽観的であれ」「変化を歓迎してください」を、困難にぶつかった際に思い出してください。

 保護者の皆様に申し上げます。本校入学以来三年間、ご子息を陰に日向に見守られ、本日がやってきました。ご子息と一緒に笑いそして悩まれた日も多々あったかと思います。保護者の皆様のこれまでのご努力に敬意を表します。いよいよ子離れ、親離れの時期が来ました。この卒業を機にご子息はさらに飛躍されると思います。是非これからは、少し遠目から見守っていただき、今後の活躍を楽しみにして頂きたいと思います。

 結びに、保護者の皆様の、本校へのご理解、ご協力、そしてご支援に改めて感謝申し上げ、また、これまで生徒を厳しくもまた温かく見守っていただきました本校教職員の皆様方に改めてお礼を申し上げ式辞といたします。

 

平成31年3月14

埼玉県立熊谷高等学校長 武内 道郎

 

平成30年度全日制第3学期始業式 講話

  新年あけましておめでとうございます。平成31年がスタートしました。

 3年生は、センター試験を皮切りに個別の大学入試が始まります。焦らず、自分を信じて、自信を持って臨みましょう。生活や勉強のペースを乱さないこと。規則正しい睡眠、食事の質、風邪予防や胃腸の具合を整えるなどの健康管理に注意してください。2年生は、3年0学期として自覚を持って行動してください。1年生は、3か月後には、新入生が入学します。中堅学年としての自覚を持って行動しましょう。いずれにしても、一人ひとりが何をすべきか考えて、具体的に、着実に行動に移して下さい。

 さて、平成最後の年末年始、各新聞には、平成の30年間を振り返るとともに、未来を予想する記事がたくさん載りました。大きな戦争があった昭和の時代に比べ、平成の30年間は、大きな災害はありましたが、概ね平和な時代でした。戦争や暴力で土地や資源を奪い、裕福になろうとする時代は終わり、これからは、AI(人工知能)や情報の時代です。GAFA(ガーファ)、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンに代表されるグローバル企業が、世界にものすごい影響を与えています。今後30年以内に、今ある職業の多くは、AIやロボットに代替されるでしょう。昭和の時代のように、懸命に働き、家や車や家電を買うことが幸福の一つの姿であった時代から、何が幸せで、今後どうしたらよいのかが、見えにくい時代を迎えています。テクノロジーは、恐ろしいスピードで進んでいます。世界中で、経済的な格差、情報の格差がますます大きくなり、テロリズム、移民の問題、貧しい国を発信源とする感染症のリスクが高まると予想されます。自国の利益を最優先にするポピュリズムは、すでに米欧で吹き荒れています。日本では、それほど意識されていませんが、アメリカで起こっていることが近い将来にやってくるという過去の経験からすれば、今後の日本でも十分に起こりうる危機です。「格差」と「AI(人工知能)」の2つがキーワードです。

 国連では、SDGs(エス・ディー・ジーズ)、持続可能な開発目標を採択しましたが、これからの時代は、世界中が協力して、貧困、格差をなくし、環境、エネルギーなど、様々な課題を解決していく必要があります。

 2019年を見ますと、4月には県議会議員選挙、いくつかの市町での首長選挙や市議会議員選挙、夏には、参議院議員選挙、埼玉県知事選挙があります。3年生はもちろん、2年生でも誕生日の早い人には、選挙権があります。立候補者の政策をよく見ていただきたい。目先の政策も大切ですが、長期的な視点にたって、日本の将来を考えてくれる、優れた政治家を選んでほしいと思います。

 こんなニュースもありました。2018年生まれの赤ちゃんが約92万人であったというニュースです。昨年の死亡者数が約140万で、日本の人口の自然減は、約45万人でした。今年のセンター試験の志願者数が約58万人ですので、いかに人口減少のスピードがすごいか分かると思います。日本の人口は世界に類を見ないスピードで減っています。しかし、悪いところばかりではないかもしれません。人口が減れば、その分、必要な資源は少なくて済みます。人生100年の時代、定年延長や定年の撤廃、女性の活躍などにより、新たな活力を生めば、豊かな社会を迎えることができるかもしれません。

 いずれにしても、変化の激しいこれからの時代を生きる皆さんに、人工知能AIには真似できない能力を身に付けてほしい。ベースは、高校時代に文系理系を問わず、あらゆる科目の基礎的な知識を身に付けること。加えて、物事を深く考えること、様々な意見や考えを参考に、自分なりの考えをまとめること、発表したり、友達と議論したり、実際に行動に移したりという経験を積み重ねてほしいということです。これらは、授業中ばかりでなく、「部活動」や「学校行事」など、高校生活を通して身に付きます。熊谷高校の日々を一生懸命に取り組む事で身に付くと思います。がむしゃらに、貪欲に自分を成長させて欲しい。熊高での3年間で、自分の力を伸ばしてほしいと思います。学ぶ目的は、大学へ入学することだけではないはずです。社会へ出てから諸君はリーダーの一人として活躍する人間にならなければなりません。日本の将来を支える人材として育ってほしい。そのためにも、幅広い知識と教養を身に付けてほしい、様々な経験を通して、いろいろなことを学んで欲しいと思います。

平成30年度全日制第2学期終業式 講話

 本校の図書館に、「健さん文庫」があるのを知っていますか。図書館の奥、つきあたりにある棚です。ジャーナリストの佐藤健さんは、高13期生・昭和36年卒の熊高OBで、毎日新聞の名物記者でした。今年の3年生が高71期ですので、58年前の卒業生です。佐藤健さんは、2002年、末期がんのために60歳で亡くなりました。高校時代は陸上部に所属していたそうです。記者時代に、毎日新聞の長期企画「宗教を現代に問う」にスタッフとして参加したのを機に、仏教を独学で勉強し、実際に臨済宗のお坊さんとなったという人です。2003年(平成15年)45日、その生き方を後輩に伝えたいと、佐藤健さんの著作と同期生17人の著書約80冊が、熊谷高校へ寄贈されました。これが「健さん文庫」です。今年128日に、健さんが亡くなり17年、高13期の同窓生も来年喜寿を迎えるということで、OBの著作やDVDなど約40点を追加で寄贈してくださることになりました。贈呈式の様子が今月9日の毎日新聞に掲載されたので、見た生徒もいると思います。夜の同窓会には、76歳の同窓生約60名が参加していました。今でも交流が続いているそうです。わずか高校の3年間を過ごした仲間が、60年たっても続いているということです。まさに、「一生の友」という感じでした。医師や弁護士、国連や企業などで活躍してきた人も多く、熊高の伝統を感じました。生徒諸君には、寄贈された本を通して、偉大な先輩方の足跡を知り、大いに刺激を受けてほしいと思います。

 さて、2学期も終わりです。平成30年、来年の5月からは、元号が変わりますので、平成最後の・・・という言葉が何にでも付きます。平成最後の年末年始です。冬休みは、17日の始業式までの12日間という短い間です。特に3年生は、センター試験の練習会がありますので、本当に短い休みですが、有効に使ってほしいと思います。

 今年は、皆さんにとってどんな1年でしたか。私は、毎年、某新聞社が企画している、読者の選ぶ今年の10大ニュースに応募するのを恒例にしています。国内、海外、県内と3つの10大ニュースに投票しています。1年を振り返る貴重な機会だと思って、真剣に当てようと思いますが、いつも6つか7つしか当たりません。印象深いニュースは、人によって違うものです。自分のアンテナと、世の大多数が興味を持つことは微妙に違っています。皆さんにとっての10大ニュースは何でしょう。1年を振り返り、思い出してください。私は、仕事上では、本当に優秀な生徒諸君、優秀な先生方に恵まれ、充実した1年間でした。個人的には、もう少し、本を読めたらよかったと思います。自宅には、読みたい本が山のように積んでありますが、なかなか消化できずにいます。来年は、もう少し本を読みたい。毎年、目標55冊としていますが、なかなか達成しません。また、4キロほど太りました。運動不足が体重増加の原因です。来年は何とかしたいと思っています。生徒諸君はどうでしょう。高校3年間はあっという間です。悔いのないよう、充実した生活を送り、思い出をたくさん作って下さい。ああすればよかった、あの時は失敗した、反省点もあるでしょう。後悔しても始まりません。大切なのは、その時どうすればよかったのか、その反省の上でこれからどうするかです。自分でやるべきことをしっかり決めて、部活動でも、勉強でも、目標を定めて、あとは今から、わき目も振らずに、がむしゃらに取り組むのです。熊高生には、馬力があると思っています。期待しています。

 3年生は、センター試験まで秒読みです。体調に注意して、これまでやってきたことを信じて、続けてほしい。「粘り強く、諦めず、根気強く努力するしか道はない」ということです。第一志望は譲らない、諦めずに粘り続けて欲しいと思います。1、2年生諸君は、先を見通して、計画的に勉強して欲しい。23学期は、同時に30学期です。2年生のときから本気になって勉強してください。よいお年をお迎えください。

平成30年度全日制第2学期始業式 講話


 おはようございます。夏目漱石の「坊ちゃん」のモデルであるとされる人物、元熊谷中学の教員、弘中又一さん。田山花袋の「田舎教師」のモデルの熊中・卒業生、小林秀三さんのことを書いた記念碑が、同窓会有志の協力で完成し、先週土曜日に除幕式が行われました。保健室前にありますので、読んでほしいと思います。

 さて、2学期が始まりました。皆さんのこの夏はどうだったでしょうか。終業式に「夏を制する者は、受験を制す」という話をしましたが、自分に打ち勝つことはできましたか。今日は、2学期以降の参考になればと思い、「時間管理」について、ずいぶん前の日経新聞にあったことをお話しします。

 皆さんは、ピーター・ドラッカーを知っていますか。経済の世界、特に企業にお勤めの方々には、大変有名な人で『マネジメント」という本を書いた方です。このドラッカー流の時間管理術という話をします。高校生諸君にとっても役に立つのではないかと思います。「時間管理」というと、普通は、「どうやったら効率的に仕事ができ、時間短縮ができるか」、また単に「スケジュール管理」のことをいう場合が多いと思います。ドラッカーは「知的労働において、時間の活用と浪費の違いは、成果と業績に直接現れる」と言っています。つまり、知的労働においては、平凡な成果を何本も生み出すのではなく、特筆すべき成果1本を生み出せるかどうかにかかっているという意味だと思います。そのためには、細切れの時間ばかり積み重ねてもだめで、2時間程度のまとまった時間に集中して取り組まなければ本当の成果は出てこないと思います。これは、家庭学習でも言えるのではないでしょうか。30分、1時間程度、机に向かったのでは、なかなか集中できずに、調子が出たころに終了してしまいます。じっくり腰を据え、2時間ぐらい集中して取り組んで初めて、大きな成果を獲得できるのではないか。ドラッカーは、「成果をあげるには自由に使える時間を大きくまとめる必要がある」と言っています。細切れの時間ではなくまとまった時間を確保してじっくり勉強に集中する。要するにこのまとまった時間の確保が大切なのだと思います。

 時間をまとめる、その方法として3つのステップを提案しています。まず、1つ目のステップとして、自分の時間の使い方を「記録する」こと。2週間の自分の起きている時間のすべての活動を記録する。記憶に頼るのではなく、実際に細かく書き留めて記録すれば、自分の癖が分かります。無駄も見えてくる。そこで、第2のステップ「整理する」です。整理するポイントは、「捨てる」「人に任せる」「やり方を見直す」です。やめた方が良いことはすぐに判断できますが、「やめたくはないが、やめても影響は少ない物は何か」の視点で必死になって削れるものを考えます。「人に任せる」もそうです。自分以外の人などにやってもらう方が効率的なものを必死で考える。そして3つ目のステップは、手順や方法に無駄はないかを「見直す」。家庭でのルーチン、部活動やその他の活動を徹底して見直す。この「記録する」「整理する」「見直す」によって、自分の生活パターンをもう一度見直すことになります。これは自分の精神的な成長にもつながります。

 そして、最後にこの3つのステップの結果残った業務を予定表に再配置して、時間の塊を生み出すのが最後の3ステップです。2時間程度の塊を、1日にいくつ作れるか。2時間あれば、集中して勉強できると思います。成果も生まれると思います。この時間管理術を意識して実践することで、時間の使い方が上手になると思います。時間の空欄を作ることを優先することで、予定の組み方も変わってきます。現実的には、急な用事が入ることもあるでしょうが、2時間枠を生み出す重要性を優先して考えていれば、物事を予想して先回りして行動する事が自然にできるようになるとも思います。

 さて、2学期は、文化祭などの行事もあり、何かと忙しい時期です。人間にとって、24時間は平等、ところが、偉大な成果をあげる人は、決まって時間の使い方、時間の生み出し方が上手です。しかも、その時間に実行できる分量が大きい。集中力が違う。皆さんでも、心掛け次第で、そうなれると思います。実践してみたらどうでしょうか。

平成30年度全日制第1学期終業式  講話

 おはようございます。1年生は先週、臨海学校から帰ってきました。多少曇りの日はありましたが、4日間ほぼ予定通り実施できました。お疲れ様でした。この臨海学校は、今年で50回目を迎えました。熊高の同窓会に協力して頂き、募金を集めさせていただきました。ベテランの同窓生は、臨海学校を経験しておりませんが、趣旨をご理解いただき、50万円以上が集まり、記念のパネル、感謝状をお世話になった方々にお渡しし、ボートや倉庫を購入することができました。開校式には、柏崎市の市長さんにもおいで頂きました。12軒の地元の民宿の方々、ライフセーバーの方、漁協の方、市役所や警察、消防、病院など、様々な方々の協力で50年も続いています。閉校式でも話しましたが、半世紀も続くのは、この行事に意義があるからだと思います。頑張りぬく精神力を育てる、そのきっかけになると思います。長い人生には、越えなければならない山がたくさんあります。自分に負けない心は、こうした経験の積み重ねによりだんだん身につくものと思います。「出来ないのではないか」目の前の壁は、自分でつくってしまうもの、できる・できないは、結局、自分自身に原因がある。出来るまでやれば、必ずできるのです。

 さて、皆さんは、夏目漱石の小説「坊ちゃん」を知っていますか。実は、この「坊ちゃん」のモデルであるとされる人物が、熊谷中学の教員、弘中又一さんで、夏目漱石が松山中学校の教師時代の同僚だったそうです。その後、弘中さんは熊谷中学に赴任し、19年間勤め、数学を教えました。また、田山花袋の「田舎教師」のモデルだといわれる人も卒業生にいます。弘中さんより年下ですが、モデルとされる小林秀三は、熊谷中学の卒業生です。この弘中又一、小林秀三は、熊谷中学第2回の卒業式の写真に、弘中又一は、28歳の教師として、小林秀三は18歳の卒業生として、写真に納まっています。このことを、熊高生は知らないという話になり、同窓会の有志が基金を集めて、記念碑を建てることになりました。8月下旬に、校門を入って右手、保健室前に設置されます。記念碑の表には、2人についての経緯が書かれますので、生徒諸君は読んでほしいと思います。

 いよいよ夏休みです。718日~830日まで、44日間もあります。この夏のみなさんの計画はどうなっていますか。夏休みをフルに使ってできる、自分が限界まで頑張れる計画を立ててください。12年生は、部活動に忙しい人も多いと思います。部活動を通して、大いに鍛えてほしいと思いますが、時間を作って勉強もして欲しい。3年生は、「夏を制する者は、受験を制す」と言われています。弱い自分に如何に打ち勝つか、それぞれが工夫してください。人生の中で、食べるのも忘れて、勉強に没頭する時期があります。自分に試練を課して、この夏を制して欲しいと思います。夏を制するというより、ねじ伏せてほしいと思います。みなさん一人一人の目標、壁を、何が何でも乗り越えるのです。意志を強く持って、乗り越える。この夏の44日間を、充実して過ごせば、その結果として大きな成長があります。夏を制し、見事に乗り越え、成長した姿に期待しています。831日には、見事に成長した姿を見せてほしいと思います。