あかいらか

2018年11月の記事一覧

Society 5.0とは

 Society 5.0を知っていますか。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、新たな社会(Society)を指すもので、目指すべき未来社会の姿として提唱されました。現代は情報社会ですが、情報の共有やAIの発達がまだまだ不十分であり、経済格差、高齢化、過疎化などの課題を解決するような理想社会までは至っていません。さらなる社会の変革(イノベーション)を通じて、全ての人々が快適で活躍できる社会を構築しなくてはなりません。私が子供のころ、手塚治虫の「鉄腕アトム」という漫画がありました。正義感を持ったロボットが活躍する未来都市を描いていましたが、最近の急速な科学技術の進展は、我々の想像を超えるものがあります。狩猟社会から農耕社会までかかった時間の何百分の1かで、理想の未来社会が訪れるのではないでしょうか。そうした社会を築くためには、どんな能力が必要で、どうやって身につけたらよいのか。それは、決して特殊な能力ではないと思います。文章や情報を正確に読み解く力、対話する力、科学的に思考・吟味し活用する力など。特に、AIに代替できない能力、豊かな感性、独創性、対話を通じて自分の世界を広げる力、新しいものへの好奇心、探求心、様々な経験を通して培う自信など。文系理系問わずに、スポーツ、芸術なども含めたいろいろな学習、部活動、学校行事など学校生活全体で身に付けるべきものだと思います。つまり、今できることは、熊高3本の矢「学業・学校行事・部活動」全てに全力で取り組むことに尽きると思います。
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「生き生き仕事人」が行われました

 平成11年にスタートしたPTA主催の「生き生き仕事人」事業は、今年で20回目を迎えました。これまでは、熊高OBを中心に10名前後が各会場に分かれ、そこに1年生が集まる分科会方式でしたが、今年は、記念館3階で4名のOBの話を全員が聞く方式にしました。司法書士(昭和57年に甲子園出場)、歯科医師(医学博士)、弁護士(元ラグビー部)、歴史作家(元芸人)、多士済々の方々の話に引き込まれました。部活動の先輩であったり、出身地が近かったり、身近な先輩方が、高校時代にどんなことを考え、その後どのような人生を歩んだのか、生の話を聞くことで、刺激を受けたと思います。質問も活発に出され、今後の高校生活の過ごし方、職業選択の参考になったのではないでしょうか。これまでの20回で、187名の方々に来ていただきました。熊高は「これからの日本と世界に貢献できる人材を育成する」を大きな目標にしていますが、実際に、熊高OBは社会のあちこちで活躍しています。生徒諸君が、自分も頑張ろうと思ってくれたら幸いです。最後のパネルディスカッションの後、全員で肩を組んで校歌を大合唱しました。熊高への熱い思いを共有できた時間でした。
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「まいりました」の言葉に思う

 「まいりました」。5歳くらいだろうか、悔しそうに顔をゆがめた男の子が、将棋盤をにらんで呟いた。地域のコミュニティーを伝えるテレビニュースで見たシーンである。対戦相手の高齢の男性は、少々大人気ないようにも思ったが、私には、この男の子の今後の成長を期待できる場面として、とても印象に残った。
「敗けました」「ごめんなさい」・・・。顔を真っ赤にして、自分の敗けを認め、非を認める。自分の力量不足への反省、そして何より強烈な悔しさ、そうした自責の念が強いほど、その後の成長のバネとなると思う。努力している人、頑張っている人ほど、敗れたショック、悔しさは大きく、その精神的な落ち込みの振れ幅が大きいほど、反動の力となって今後の成長のチャンスとなると思う。自分の敗けを認めたがらないタイプの人もいるが、自分の何が足りなくて、何が原因で敗れたのか、反省し、検討することで今後の成長につながる。他者のせいにして、解決した気になっていては、みすみす成長のチャンスを逃すことになる。
 世の中は広い。いろいろな能力を持った人がたくさんいる。若い生徒諸君には、敗れること、失敗することは想定内だと考えてほしい。能力不足を過度に嘆いたり、卑屈になったりする必要はない。敗れること、失敗することを怖がらず、敗けや失敗をその後の成長のバネにしてほしい。


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教科書を疑え

 ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授の「教科書を疑え」の発言が波紋を呼んでいる。もちろん、教科書が間違っている等の意図ではないと思う。私は、教科書をそのまま読んで理解するだけでなく、自分の頭でしっかり考えて消化し、過去の偉人達の発見したこと、考えたことを追体験して、自分の頭に落とし込む作業が大切であるとの意味だろうと解釈している
 
折しもアメリカでは中間選挙が行われ、様々な意見がネットにあふれている。自分自身の考えをしっかり持つことが、かつてより大事な時代になっている。ポピュリズム、大衆に心地よい政策が人々を惑わし、世の中が変な方向に動きかねない状況も見られる。フェイクニュースや偽情報は、実に巧妙で、全く関係ない動画や記事を勝手に加工し、あたかも事実のようにネット世界に投稿される。無責任なニュースがあふれ、9月にあった北海道地震では、多数のデマ情報に市民が振り回されたことがあった。インドでは、デマ情報をもとに暴徒化した市民が、無関係の人を殺害する事件も発生した。「教科書を疑え」は、「たとえ教科書であっても疑う気持ちで考えよ」であって、様々な場面で、物事を多面的に見て、吟味し、自分の頭で考え直す、そうしたトレーニングが、これからの時代、ますます大切になってくると思う。自分がいつ、偽情報に振り回されることになるか分からない。危機感をもって学んでほしい。

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進路の季節

 中間考査期間が終了し、生徒の皆さんの日常が始動しました。2学期前半を振り返るとともに、新たなステージに向けた”区切り”への意識を各自がそれぞれに積極的にかみしめつつ2学期後半の学業、部活動、学校行事に力を注ぐことを期待します。

 特に進学を控えた3年次生はもちろんのこと、1年次生にとっても、「進路を考える季節」であります。二者面談がありますから、これまでの熊高での生活を踏まえた今後の学習と進路選択の在り方について、自身と向き合い、担任と向き合い、保護者の方と向き合いながら目標を形成していくようにしてください。そして、ぜひ生徒には「進路を自身の事としてとらえること」を、たとえ徐々にであっても認識してほしいと思います。それが、「大人になる」ということだと考えます。

 1年次生は、この後、PTAのご協力を得て「生き生き仕事人」でOBのお話を聞く機会が設けられます。熊高ではOBという「モデル」に事欠かないわけで、そのような機会をとらえて少しずつ将来の事について吸収しながら「勉強だけではない」経験値を高めていくとよいと思います。今年は6月に毎日新聞で数多くのOBが紹介される連載もありましたし、10月15日に日本トライアスロン選手権大会で優勝、その後本校教育実習に来てもらう予定である大学4年の卒業生のニュースもありました。さらにその後立て続けに10月17日付け朝日新聞で「シルクロードの旅3カ月2800キロを語る」との見出しで熊谷出身の探検家の講演予定が紹介されました。こちらも本校OBで現在44歳だそうです。

 2年次生にとっては修学旅行の直前となり、移動等のグループ計画を立て、事前学習(平和学習)をし終え、次第に気持ちが高まっていることと思います。普段訪ねることができない美術館・博物館もコースの途中に数多く立地しています。関東では感じられない関西の『風土』、古き伝統を大切にする意義をじかに体験する良い機会です。自分達で考え、行動する『鍛』の要素を多分に含む本校の修学旅行を堪能するとともに、将来に活かせるような「30代、40代になっても懐かしく振り返ることのできる」得難い経験をしてほしいと思います。

 話は戻りますが、「妥協の進路」か「希望の進路」か、この「進路を考える季節」に自分のこととして向き合うこと。特に受験を控えた3年次生には、周囲・仲間・先生を信じて邁進してほしい。

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