熊谷農業高等学校創立120周年記念式典

 埼玉県立熊谷農業高等学校が、創立120周年を迎えられますこと、埼玉県高等学校長協会を代表して心からお祝い申し上げます。

 本日は、熊農生の皆さんに期待することをお話したいと思います。

 まずはこの話を聞いてください。

 昔、中国北方の国境近くに住む老人の馬がいなくなりました。人々が気の毒がると、老人は、「今に良いことがあるよ」と、あまり気に留めていませんでした。しばらく経ってから、なんと、逃げた馬が、足の速い馬を連れて戻ってきました。人々が、「よかった、よかった」と喜ぶと、「このことが、禍になるかもしれない」と喜びませんでした。

 すると、足の速い馬に乗った老人の息子が落馬して足の骨を折ってしまいました。人々が見舞いに行くと、老人は、「このことが幸福を呼び込むかもしれない」と言いました。しばらくすると戦争が始まり、若者たちはほとんど死んでしまいましたが、老人の息子は、足を折っていたため、戦争に行かずにすみました。

 これは、皆さんも聞いたことがある諺、「人間万事塞翁が馬」の元となった話です。

 実は、この話は、IPS細胞で、ノーベル生理学・医学賞を受賞した、山中伸弥博士が好きな寓話としても知られていて、かつて、高校生向けに、このような講話をしています。

 人生の48年間、特に、後半の20年くらいを振り返ってみると、本当に、この万時塞翁が馬だな。本当に大変なこともあるし、嬉しいこともある。でも、大変だと思ったことが、実は、嬉しいことの始まりだったり、もの凄くいいと思ったことがとんでもないことの始まりだったり。ということですから、一喜一憂せずに、淡々と頑張ると言うことをわかってもらえたらなあと思います。熊農生の皆さんは、どう感じましたか? 

 コロナ禍がなかなか終息しません。そして、この2年半、マスクやアルコール消毒液が手に入らないなど、かつて、想定すらしていなかったことが起こりました。

 しかし、諺にもあるように、不利な状況が、かえって幸運をもたらすこと、逆に、有利な状況がかえって不幸をもたらすことがたくさんあります。

 山中博士の言うように、人生というのは固定的なものではなく、流動的です。いつ幸福が不幸に、不幸が幸福に転じるか分かりません。だからこそ熊農生の皆さんには、状況が変化するたびに、喜んだり心配したりして落ち着かない状況になるのではなく、やるべきことをしっかりとやる、そんな毎日を送って欲しいと心から願っています。

 そして、熊農生としての自覚と誇りを持ち、先輩たちが築いてきた120年の歴史と伝統を引き継ぎ、熊農ならではの校風を守り続けてくれることを期待しています。

 結びに、本校の末永い発展を御祈念するとともに、関係の皆様の本校に対する変わらぬ御支援・御協力をお願い申し上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。

 令和4年10月22日

埼玉県高等学校長協会北部地区会長

埼玉県立熊谷高等学校長 加藤 哲也

令和4年度2学期始業式

(抜粋)

 3年ぶりの一般公開ということで、楽しむぞ~と思っている人も多いと思いますが、楽しむのは、あくまでも来校いただいたお客さんであることを忘れてはいけません。

 そういう意味において、一般公開では、心づかいと思いやりの気持ちを持って、皆さんの友達や中学生、近隣の方など、来ていただいた方に十分満足して帰ってもらえることを目標にしてください。

 そのためにも、熊高生諸君には、来校してくれたお客さんが楽しんでいる姿を見ることを楽しむ、そんな熊高祭にして欲しいと心から願っています。

 期待しています。

令和4年度1学期終業式

 「目をなくしたカバ」という寓話を紹介します。

 一頭のカバが、川を渡っているとき、自分の片方の目を失くしてしまいました。カバは、必死になって目を探しはじめました。

 しばらくその様子を見ていた川岸にいる鳥や動物たちが、少し休んだほうがいいよとカバに助言をしましたが、永遠に目を失ってしまうのではないかと恐れたカバは、休むことなく、一心不乱に目を探し続けました。それでも、目は見つからず、とうとうカバは、疲れ果てて、その場に座り込んでしまいました。

 カバが、動き回るのをやめると、川は静寂を取り戻しました。すると、カバがかき回して濁らしていた水は、泥が沈み、底まで透きとおって見えるようになりました。そして、カバは失くしてしまった自分の目を見つけることができました。

 コップの中の泥水をしばらく放置していると、やがて泥が沈み、水と泥に分かれます。この現象は、しばしば座禅に例えられます。

 座禅を組むところまではいかなくても、私たちは生活の中に、心を静かに保つ時間、すなわち、ぼんやりする時間を見つけることができます。駅のホームで電車を待つ時間、レストランで頼んだ食事が出てくるまでの時間、エレベーターを待っている時間、私が若い頃、そういうひとときは、まさに、ぼんやりできる時間でした。

 しかし今、私たちは、スマートフォンをいじって、そういう時間をつぶしてしまっています。

 ひらめきやアイデアは、何も考えず、ぼんやりしている時にこそ降りてきます。机に向かって勉強をしているとき、髪の毛を掻きむしって考えている時、スマホに夢中になっているとき、ひらめきは降りてきません。

 どうやら、ひらめきという訪問者は、忙しい人を嫌い、ぼんやりしている人を好むようです。

 私もかつて、スーパー銭湯で温泉にのんびりつかっている時、解けなかった数学の難問の解答への道筋が降りてきたことがあります。

 ずっと走り続けることは、決してよいことではありません。

 しばらく走ったら、必ず休んで、自分の走りを見直してみることが大切です。間違いなく、ひらめきが降りてきます。走り続けている熊高生諸君、たまにはぼんやりしてみよう、そして、熊高魂に一層磨きをかけて欲しい、そう願っています。

 話は以上です。

着任の御挨拶

 

 熊谷高等学校は、浦和高等学校とともに1895年(明治28年)に創立した県下有数の伝統校です。

 保護者の皆様、様々な分野で活躍する卒業生の皆様の御支援をいただきながら、教職員一丸となって、世界の幅広い分野・領域で活躍する人材を育成してまいります。

 御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 第40代校長 加藤 哲也

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